子どもと学びとわたし

保育士ママが子育てや教育について考えてみる

保育園に預けるのはかわいそう?本当に大切なのは時間ではなく親子の関わり方

 

今でも「保育園に預けるのはかわいそう」という言葉を耳にすることがあります。

わたしは言われたことはないのですが、実際言われた方もいて、

母親の立場から、保育士の立場から少し考えてみました。

 

 

なぜ【かわいそう】という言葉がでてくるのか

昔、子どもは地域で育てていた

 

まず、一昔前、まだ2世帯、3世帯が一緒に暮らしてた家族が多かった時代は、働き世代の親は、仕事に行ったり、畑に出たり、と働き、

おじいちゃんおばあちゃんが子どもの面倒をみたり、地域の人たちが一緒になって子育てを応援してくれていました。

もちろん子どもを背負って頑張っていらっしゃった方も多いと思いますが、

子育ては決してひとりでするものではなかったと聞いています。

よって、見知らぬ他人に預けること=かわいそうと思われる方もいらっしゃるのかもしれません。

 

今は核家族が増え、多くの親が、特に母親がひとりで家事、育児を担っているのが現実だと思います。

わたしたち保育園で働くスタッフは子育てを応援するためにいます。

地域で子育てが難しくなった今、その代わりをしているのが地域の保育園なのではないかと、わたしは感じています。

 

保育園と幼稚園が比べられていた時代や地域もあった

わたしが幼稚園に通っていた頃のこと。

40年近くも昔の話です。

わたしが住んでいた場所では保育園には貧しい家の子や、当時は珍しかったシングル家庭の子どもが通うのが保育園だったそうです。

そして幼稚園に通うのが普通の子ども、という状況だったそうです。

もちろん、今の時代はそんなことはないです!

 

当時両親ともにフルタイムで働いていた我が家では、今の時代ならどう考えても保育園に通わせるのが普通です。

けれども当時近くに住んでいた祖母が大反対しました。

田舎だったことで、保育園に通わせるのは恥ずかしい、周囲に何を言われるかわからない、というのが理由だったそうです。

祖母の時代では、それくらい保育園と幼稚園には大きな差があったそうです。

そこで、わたしは祖父母のもとから幼稚園に通うことになりました。

そういう時代もあったのです。

何度も言いますが、今は違います!

 

保育園は児童福祉施設のひとつでもある

また保育所、保育園、というのは児童福祉法に定められる児童福祉施設に対し、幼稚園は文科省の定める教育機関です。

そういった大きな違いが昔からあります。

今でこそ、幼保一体の認定子ども園などが増えてきましたし、幼稚園でも延長保育などを取り入れたり、保育園でも教育的な要素を取り入れられるようになってきましたが、

教育機関福祉施設という昔からある背景、というものの影響も大きく関係しているようにも思います。

 

幼稚園に比べ保育園では長時間預けられている

これは保護者の方が仕事をしていれば必然とその労働時間を保育園で過ごすことになるため、どうしても長時間になってしまいます。

深夜保育、休日保育、24時間保育なども保育園独特のものかもしれません。

また0歳児から預けられている子どもがいることも大きな原因と言えるのかもしれません。

 

3つの例から考えてみてほしいこと

では、ここでいくつか例を紹介します。

何を感じるか、どう思われるかは人によると思います。

 

ケース1

Aちゃんは0歳児から保育園に通っています。

親は時短で働き、朝は8時に登園、お迎えは16時です。

帰宅してからはテレビや動画を見て過ごし、その間に親は食事を作ったり、家のことをします。

休日は実家に行って、Aちゃんは祖父母とともに時間を過ごします。

親は自分たちの時間を自由に過ごします。

 

ケース2

Bちゃんは0歳児から保育園に通っています。

親は二人ともフルタイムで働き、近くに頼れる親族はいません。

保育園開園と同時の7時に登園、夜は閉園ぎりぎりの夜8時にお迎えです。

食事は朝食以外は保育園の給食です。

夜の帰りが遅くなり、お風呂に入れない日もあります。

月曜から土曜日まで保育園に通い、日曜日のみ親子で過ごします。

そのかわり、日曜日は親子で思いっきり触れ合って楽しく過ごします。

 

ケース3

Cちゃんは0歳児から保育園に通っています。

シングル家庭で親はフルタイムで働いていますが、近所に祖父母が住んでいるので、援助はあります。

ファミリーサポートに登録し、祖父母を頼れない日は利用します。

朝8時に登園し、17時には祖父母のお迎えです。

祖父母のもとで夕食、入浴後、親と一緒に自宅に帰宅します。

その後は寝るまで一緒に遊んだり、お話をしたりして過ごします。

土日はずっと一緒で、公園へ出かけたり、一緒に思いっきり触れ合って遊びます。

 

どういう状況をかわいそう、と思うのかは人それぞれ

上記のようなケースはどこにでもあります。

他にもいろんな状況の保護者の方がいます。

子どもの状況もさまざまです。

どこまで支援を求めるのかも人それぞれです。

 

わたしが児童福祉や保育現場で学んだのは、

愛情は時間ではなく、中身。

どれだけ長い時間一緒にいるかではなく、どれだけ深いかかわりがあるか、

ということです。

 

 

現在の保育園

幼保一体化という考え方により、認定子ども園などが設立しており、

保育・教育を幼稚園でも保育園でも確保される動きがどんどん進んでいます。

よって、保育園は幼稚園と同じように、教育的な面がかなり取り入れられています。

また幼稚園でも延長保育・預かり保育は当たり前になってきています。

 

小学校へ就学したときに、

幼稚園の子だから、〇〇できる。

保育園の子だから、〇〇できない。

逆もしかり。

というようなことが起こらないために、

幼稚園でも保育園でも、小学校就学に向けて同じような取り組みをする、配慮がされるようになってきています。

 

ですので、幼稚園に通ったから〇〇だ。

保育園に通ったから〇〇だ。と言われるようなことは今ではかなり少なくなってきているのでは?と思ったりもしますが、

もちろん、言いたい人はいろんなことを言ってきます。

息子が小学校に就学したときは、

「保育園に通っていたから甘やかされている」

と担任の先生に言われたこともありました。

 

わたし自身、保育の現場にいて、子どもは保育園に通っているとはいえ、幼稚園に通っている方とも話します。

職場にも幼稚園に通わせながら働いている方もいて、意見交換をしたりもしますが、

大きな差があるようには感じません。

 

0歳児から保育園で過ごしているからといって、

愛情なく育っているわけではありません。

昔、地域の人たちが愛情をもって子どもたちを見守り、育児に参加していたように、

わたしたち保育士は愛情をもって日々子どもたちに接しています。

保護者の方と一緒に成長を喜び、そしていろんな悩みを一緒に解決していきます。

 

子育てに正解はありませんし、

もちろんかわいそうだと思われる方もいらっしゃるでしょう。

それは人それぞれなので、そう思われるのなら、わたしたち保育士の力不足、ということにもなるかもしれません。

 

保育園に預けた親として

保育園には感謝

我が家では二人の子どもは保育園に入れましたが、二人とも保育園は大好きだと言ってくれました。

先生もお友だちも大好き!だそうです。

お友だちは兄弟のように共に育っていて、絆は深いです。

先生方は一緒に子育てをしてもらい、本当に感謝でいっぱいです。

自分も保育士をしていて大変な仕事だという認識があるからこそ、ここまでやってもらえた、という本当に深い深い感謝があります。

ちなみに娘の将来の夢は【保育士になる!】です。

 

これから保育園に預ける方へ

保育園に入れよう、しっかり働こう、と決めたのであれば、気持ちの上で覚悟は決めておくといいと思います。

誰かに、「そんなに小さい頃から預けるの?かわいそうじゃない?」と言われることもあるかもしれません。

最初は泣き叫ぶ子どもを保育士さんに預けることに抵抗があるかもしれません。

 

それでも、保育園に預けると決めたのであれば、親はその覚悟をちゃんと子どもにも示すと、子どももその覚悟を受け取ることができます。

 

示すってどうやって?と思われると思いますが、

 

たまに保育園で、泣き叫ぶ子どもといつまでたっても離れられない保護者の方がいらっしゃいます。

泣き叫ぶわが子をそのまま置いていく、という行動に、心が痛むのはものすごくわかります。

わたしも二人の子どもたちを預けた初日は、泣き叫ぶわが子に笑顔で手を振った後、自分も泣きながら帰りました。

最初は後ろ髪をひかれる思いでその時期を乗り越えていきます。

 

でも、親がずるずると気持ちを切り替えられず、そばを離れられないでいると、子どもはこのまま泣き叫んでいれば家に連れて帰ってもらえるかもしれない、という淡い期待を持ち続けることになります。

にもかかわらず、最終的には置いていかれます。

それは子どもにとって残酷なことです。

 

親は毅然として、手放す。

それが結果的に子どもも、ここで過ごさなければならないんだな、でもちゃんと迎えにきてもらえるから大丈夫と気持ちを切り替えることができます。

子ども自身も覚悟が決まるのです。(2,3日の子どももいれば2週間くらいかかる子どももいます)

 

笑顔で、ぎゅーっとしてバイバイ。

笑顔で、手と手でタッチしてバイバイ。

そしてお迎えのときにはただいま、と言ってぎゅーっとする。

 

など毎日のルーティンを決めておくといいです。

そういったルーティンを決めておくと、保育園で安心して過ごせるようになります。

 

親の覚悟は子どもに伝わります。

親の不安な気持ちも子どもに伝わります。

それを知った上で、子どもとのかかわり方を考えてみるといいと思います。

 

4月は環境も変わる方も多いですし、保育園に預ける、となれば、

親も子どもも不安になります。

それは保育園側も毎年のことなので、保育士もちゃんとわかっています。

ですので、何か不安なことがあればいつでも相談してもらえば大丈夫ですし、

時間の余裕がなければ連絡帳などをどんどん利用していただければと思います。