子どもと学びとわたし

保育士ママが子育てや教育について考えてみる

学校を休んでいいよ、のその先

 

不登校が問題行動ではなく、ごく身近になってきて、

学校へ行かなくてもいい、休んでいいんだよ、というのが世の中でも受け入れられるようになってきました。

 

けれども、

子どもが「学校へ行きたくない」と言い出し、

親としては不安ながらも、「無理しなくていいよ。休んでいいんだよ」と声をかけます。

じゃあ、その先は?

 

その先の責任はだれがどうしてくれるの?

 

と考えてしまいますよね。

親として心配なのは子どもの将来です。

これから先の長い人生を、子どもは自立して生きていかなければならないのに、

学校で躓いてしまったら、この先どうやって生きていけるの?

 

と。

 

けれども、学校を休み始めた頃の子どもは、精神的にもずたずたで、将来のことなど考える余裕などないんですよね。

なので、まずは体を休めよう。心を休めよう、という時間が必要だったりします。

 

その間、親としてはどうにかしてあげたい、なんとか勉強が遅れる前に日常生活に戻したい、と焦ってしまったりもするのですが、

余計なことはしないのが一番いいです。

 

とはいえ、何かしてあげないと落ち着かない、という気持ちはをどうすべきか。

 

htklv.hatenablog.com

この記事とかぶる部分もあるのですが、親と子どもが不安になる点から考えてみます。

 

 

 

親自身のスタンスをしっかり決める

親自身が、あわわわ、どうしようどうしよう、と思っていると、子ども自身も不安になるだけなので、

親がしっかりと気持ちをさだめる、というか方針を決める、のです。

 

子どもにどうしてほしいの?

 

と聞かれたらどう答えますか?

その答えをしっかり自分の中で見つけておきます。

 

大半の親なら思います。できれば学校へ行ってほしい。

じゃあ、その理由はなにか。

 

学習が遅れてしまう。

人との関りがなくなってしまう。

 

そういう不安が大きいからですよね。

 

気持ちの振り返り

子どもが幼かった頃、どういう子に育ってほしかったでしょう?

大半の人は、健康で、元気に大きくなってほしい、と思って育ててきていると思います。

じゃあ、今目の前にいる子どもはどうでしょう?

健康で、元気に大きくなっているでしょうか?

もしかしたら元気はあまりないかもしれないけれど、健康に大きく成長していると思います。

 

今、子どもに願うのは?

親としていま、子どもに願うことってなんでしょうか?

多くの人は、幸せに生きてほしい、と願うのではないでしょうか?

生きていれば辛いこともあるし、苦しいこともある、そういったことを乗り越えて幸せになってほしい。

 

今目の前にいる子どもは辛いことや苦しい現実にぶつかっている最中です。

ここを乗り越えることができれば幸せになれるでしょうか?

 

親自身の問いかけから、答えを見つける

わたしは、息子が不登校になったときも、学校へ行ってほしい、という気持ちは正直ありませんでした。

行きたいなら行けばいい。行けるなら行けばいい。

でも行きたくないなら行かなくてもいい。

学校に行く行かないはどうでもいい。

ただ、勉強もしたくない、というのは許さない。

学びをストップさせることは認めない、という親の強い気持ちは伝えています。

 

学び方はたくさんある、自由な学校へ行くのもいい、塾へ通ったり習い事をするのでもいい、

家で自分で学ぶのもいい、

どんな学び方をしてもいい、最終的に高校の卒業資格だけは取りなさい。

という絶対のスタンスは崩していません。

 

人よりも優れた才能があればいいんですけどね。

勉強できなくても、スポーツ万能だったり、芸術的なセンスが抜群だったり、

とにかくひとつでも抜きんでた何かがあって、自分自身がそれに夢中になって取り組めているなら、それを頑張ればいいし、親も応援できると思うのですが、

そういったものがない場合、

最低限の学力と、学歴はどうしても必要なわけです。

日本では不登校でも、中学の卒業資格までは確実にとることはできますが、中卒で希望する職業につけるか、というと…親としては不安になります。

もちろん時代は変わってきていて、学歴だけがすべてはなくなってもきていますが、

じゃあ今すぐ、学歴不要の時代になるか?というとまだまだ難しい気がします。

 

我が家の場合は、どんなかたちでもいいから高校卒業資格を取る、というのが絶対条件にしていますが、

それは家庭によって違うと思います。

学校は行かなくてもいいけど、通信なりなんなりで大学卒業資格はとりなさい、という親だっているでしょう。

やっぱり全日制の学校へ通ってほしい、と思う親だっていると思います。

 

けれど、親の気持ちだけをおしつけても、子ども自身の気持ちが前へ向かない限りはなかなか難しいのも現実ですよね。

ただ、わたしは息子を見て思ったのは、

学校へ行きたくはないけど、勉強が遅れるのはイヤだ、という気持ちがとても強かったんですよね。

 

子どもの気持ち

 

子ども自身、周囲が学校で多くのことを学んでいるのはよくわかっています。

学校を休めば、どれくらい置いて行かれるか、という恐怖も感じています。

勉強ができないからやりたくない、という子ももちろんいるかと思いますが、

本当に勉強をしなくていいと思っているか?というとそうではないと思います。

 

学びたい気持ちはある、でも今の学校へはどうしても行けない。

休めば休むほど、授業についていけなくなる。

友だちとの関係も難しくなってしまう。

焦りだけがつのって、どうすればいいかわからない。

行かなければならないのに、ここまで休んでしまったらもう行きづらい。

 

多くの子どもたちはここらへんのところで苦しんでいるのではないかと思います。

 

学習方法を伝えてみる

家で勉強すればいいじゃん!

って軽く言ってあげると、

え?それでいいの?

とすんなり学習については受け入れてくれる子どももいると思うんですよね。

 

息子は学校でないと勉強はできないと思っていたので、

わたしが

「家で勉強するという方法もあるよー。海外ではホームスクーリングなんて一般的だよ」

というと驚いていました。

 

これは教育相談で相談していたときにも話題になったのですが、

学校がすべて、になっている子どもたちは多いので、我が家のように、家で勉強できるよ~と伝え、学習をしていけば、勉強に対して自信を取り戻していきます。

学校の授業の進み具合なんかを聞きながら、家で学習し、(家庭教師なども利用して)

学習の遅れが気にならなくなってきたら、学校復帰ができる子も中にはいるらしいんですね。

やっぱりそれくらい授業についていけなくなることに不安を感じている子は多いのだと思います。

 

子どもと環境

多くの子どもたちは学びたい、という気持ちは心のどこかにはあると思うんですよね。

そして、行けるのなら学校へ行きたいと思っている子どもは多いと思います。

ただ、今通っている学校の環境が合わない、というだけで。

山村留学を経験した弟も言っていましたが、

自分に合った環境で学べることが一番

だということです。

その環境探しはけっこう大変だったりもしますが、

子どもとの対話をしていけば、どういう環境がいいのか、どういうところだったら生き生きと学べるのか、

少しずつ見えてくると思います。

人との付き合いに疲れていたり、苦手だったりすれば高校からは通信制という方法もありますし、

今は、ネットコースなどを設けている小学/中学のフリースクールなどもあります。

自由に自分の興味のあることだけを学びたいのなら、サドベリースクールのような学校もあります。

 

経済面で難しいこともあるかと思いますが、

ひとついえば、ホームスクーリングはあまりお金がかからない方法です。

遊んでるか勉強してるかわからない、と周囲に言われることもありますが、

我が家はそれを言われないために、オンライン教材を利用したんですよね。

何も知らない人たちからは言われていたのかもしれないですが、

レポートなども作っていたので、教育相談センターや、教育委員会にはちゃんと認めてもらえました。

 

親子の気持ちは一致している?

 

たぶん、多くの家庭で、親子の不安な気持ちは一致していると思うんです。

学習への不安、将来への不安。

ここが一番不安なんだ、ということ。

 

学校を休んでいいよ。

と言ってから、

子どもの気持ちが落ち着いてきたら、ゆっくりと考えて、話をしてみると、なんだ、この子はちゃんと勉強したいと思っているんだ、学校は大事だと思っているんだ、ということに気づきます。

 

親も子もちゃんと気持ちは一致しているはずなのに、

なぜか学校へいく行かない、でとてつもなく苦しんでいる親も子どもも多いと思います。

 

自分はこの学校へは行きたくなかったのに、親が行けというから無理して行ってた、とか、完全な親子のすれ違いの場合だとまたすこし状況は変わってきますが、

 

子どもは学びたいのに、行きたい気持ちはあるのに行けない。

親は学校へ行ってほしい気持ちはあって、ついつい急かしてしまう、といったようなすれ違いの場合は、

一旦、何を優先するか、学校で何を学ぶのか、を考えてみるといいかもしれません。

 

学校で何を学んでほしいのか?

 

皆と同じように学習してほしい。

いろんな人と関わって、人間関係を学んでほしい。

 

それは今の学校でしかできないのでしょうか?

 

勉強はやろうと思えば家でもできます。

他の学校へ通うこともできます。

人との関りも、習い事や地域のコミュニティ行事に参加することで、様々な年代の人たちと関わることだってできます。

自然が好きならボーイズスカウトやガールズスカウトに参加してみることもできるわけです。

 

子どもにとっては今の学校がすべてなので、どこの学校へ行っても同じだと、どうしても考えてしまいがちです。

学校、といっても様々な学校があります。

普通の公立校に通っていた子がサドベリースクールに見学にいったら、あまりに自由で、こんな学校が存在していたんだ、と驚いたという話を聞いたことがありますが、

 

我が家の息子も今の学校の説明会に参加したら、

先生の言葉のひとつひとつが、自分の知っている先生たちとあまりに違っていたので、ここなら通える、と思ったそうです。

 

地元の学校では先生があれこれ指示して、それに従うことが絶対です。

みんなと同じことを同じようにできることを求められ、できなければダメな人間扱いをされます。

スポーツがものすごくできる子が、算数は全然できなくて、教室で「ばかばか」と言われているのを見るのがすごく嫌だった、と言っていました。

 

けれども今の学校は違います。

それぞれが得意なことをどんどん伸ばし、苦手なことは他の人たちに支えてもらう。

苦手なことでも、得意な子がサポートする。そして今度は自分が得意なことで、誰かが苦手なことをサポートする。

誰もが同じことを同じようにできる必要はないのです。

 

例えばグループでプレゼンをするとき、人前で話すことが得意な子、苦手な子、いますよね。

プレゼンの資料は人前で話すことが苦手な子が中心に準備をすすめ、本番で話すことが得意な子がそれをもとに発表する。

そんな感じですね。

 

そして先生方もサポートするのがメインで、すべては子どもの自主性に任せているようです。

先生が上から指示をする、といったことはまったくないんですよね。

 

私自身も、思ったんですよ。

学校で学んでほしいのは、みんなと同じことが同じようにできることではない。

人ぞれぞれ得意なこと、苦手なことがあります。自分の得意なことで誰かの役に立ち、苦手なことは「手伝って」と言えるようになってほしい。

そしてそういった人間関係をつくっていくことのほうが大事なんだな、ということです。

 

よく考えてみると、今の私もそうやってうまく自分の役割を自分で決めていたりもします。

PTAの役員をやっていた頃、わたしはものすごーく苦手な先生がいたんです。

なので、みんながやりたがらなかったパソコンでの資料作りを引き受けて、その先生の対応の時はお願いします!と言ったんですよね。

そしたらすんなりOK。というかむしろ「ありがたいー!助かる!!」と言ってもらえました。

 

わたしは基本、苦手なことはやりません!

 

それはわがままでしょ?と思われるかもしれませんが、そのかわり、みんながめんどくさいと思う仕事はどんどん引き受けるようにしています。

そういう風にうまく生きていくのってけっこう大事です。

ストレスもあまりたまらないし。

もともとこういうやりとりは苦手だったのですが、やはり人生の転機となったアメリカ留学のおかげでもあります。

だからといって留学おすすめです!というつもりはありません。

勇気をだして環境を変えてみる、という一歩を踏み出したことで得られた経験だと思っています。

 

日本でも本当に大事なことは何かを学べる学校や環境はどんどん増えています。

少しだけ外に視線を向けてみると、本当にたくさんの学校があることに気づきます。

 

学校を休んでいいよ、はスタート地点にしよう

「学校を休んでいいよ」は、親にとっても勇気の必要な言葉ですよね。

このまま不登校になって、ひきこもりになってしまったら?という不安とのたたかいでもあります。

だから、

「学校を休んでいいよ」

はスタート地点にする、と思うのがいいと思います。

 

今の学校へ戻るのか、

違う環境へ向かうのか、

 

確かに今の学校へ戻ってくれるほうが、親の負担は少ないし、ありがたいことでもあります。

けれど、せっかく学校を休んで、もう一度いろいろなことを考えるきっかけになったのだから、新しいスタート地点にする選択肢もなくさない方がいいと思います。

もとの学校へ戻るにせよ、新しい環境へ行くにせよ、子どもにとっては大きな勇気が必要だからです。

 

イキイキとした顔で、「行ってきます」と言ってくれたほうが親としては一番安心できます。

笑って生きていってほしいんです。

辛いことがあったとしても、その中に楽しいことが少しでもあれば頑張ることができます。

その楽しいこと、ほっとすることをわたしたち親は与えてあげていたいと思います。

 

そのために何が必要なのか、

子どもにとってどういう環境ならばイキイキと過ごせるのか、

立ち止まった今だからこそ、じっくり考えることができます。

 

子どもにとって、家族にとって、自分にとって、本当に大事なことは、なんですか?

もう一度振り出しに戻って考えてみると、スタートからの第一歩につながると思います。

 

大丈夫、ちゃんと前へ進んで行けます。