息子は現在オルタナティブスクールに通っています。
オルタナティブスクールとは、直訳すると代わりの学校とかもうひとつの学校という意味になりますが、既存の学校とは違う新しいかたちの学校のことです。
シュタイナーやモンテッソーリなどの独自の教育思想に基づいた教育や、独自の教育カリキュラムの学校、フリースクールやホームスクールも含まれます。
中には一条校と呼ばれる、義務教育校もありますが、ほとんどが義務教育校ではありませんので、地元の公立校に籍をおきながら通うかたちになります。
出席日数としてカウントされるかどうかは校長先生の判断になるようです。
息子が中学からオルタナティブスクールに通うにあたり、教育委員会、在籍予定の中学と面談をしました。
内容としては、以下の順で書いていきます。
オルタナティブスクールを希望していることを伝える
進路については、小学6年の4月にはオルタナティブスクールに通いたいという希望を本人がしていたので、準備期間はかなりありましたし、余裕をもって臨むことができました。
まず、最初に小学校に相談したのですが、
小学校としては、
「あ、そうですか。希望の学校が見つかってよかったですね」
というあっさりした対応でした。ま、中学のことは関係ないからね…
小学校から中学校進学は、連携がある(情報のやりとりがある)、と聞いていたのですが、そういったことを地元の中学に伝えてくれることはありませんでした。
小学校の息子の担任の先生は私立中学受験もあまり詳しくなく、とにかく地元の学校へ行く以外の選択肢についてはあまり知識はないようでした。
ので、教育委員会の方へ直接連絡してみました。
教育委員会の方は、息子の不登校状況等詳しくはご存知なかったようで、最初は驚かれていたんですが、
すぐに小学校に連絡をして状況確認をしてくださり、
その場で面談の日程を決めてくださいました。
教育委員会との面談
面談でも、いろいろ親身になって話を聞いてくださいました。
実をいうと、教育委員会に対してはあまり良い印象を持っていなかったんですが(いろいろニュースとか見てるとね…神戸とか…とか…とか)
あまりに素早い対応と、息子の希望を最優先に動いてくださったことは本当に感謝しています。
ただ、やはり私としてもものすごく気をつけていたのは確かです。
・小学校の悪口になるようなことは言わない。
・特定の先生に傷つけられたことは言わない。
息子の不登校の原因に関しても、小学校の対応は不信感だらけでしたが、
私が感情的になってここで小学校の対応の愚痴をペラペラしゃべっても、
教育委員会の私に対する印象は悪くなるだけです。
ここで、教育委員会を敵にまわすことはデメリットはあってもメリットはひとつもないのでかなり慎重に話はしました。
もちろん小学校に対して改善してほしいことは山ほどありましたが、
その点は一切話しませんでした。
小学校生活の中で、息子が傷ついたこと、
そのことによって不登校になっていること、公立の学校に不信感を抱いていること、
よって進学先はオルタナティブスクールを希望していること。
これらを強調し、
親としては息子の希望を尊重してあげたいので、認めてほしい、
と伝えました。
とにかく過去ではなく、未来。
教育委員会と地元中学との関係を良好にしておかなければ、
こちらの希望は通らない、と思ったのです。
ただ、かなりいろいろ準備はしていきましたが、
想像以上に、教育委員会の方が親身になってくださって、
「いま、こういう(不登校の多い)時代ですから。本人の学びたいという場所があることは大切なことだと思っています」
と言ってくださいました。
本人の進路の希望が変わったときのことも一緒に考えてくれました。
その後すぐに在籍予定の中学に連絡をとってくださり、
中学との面談のアドバイスもしてくれました。
ちなみに我が家が用意していたのは、
・不登校時の状況説明:なぜ不登校になったか、学校へ行っていない間の教育相談センターの利用状況、家庭学習のレポート、などをまとめたものを見せて、進路について親子で何度も話し合ったことを伝える。(この時、学校の悪口にならないように気をつける)
・通いたいスクールの資料:学校のパンフレットを持参し、カリキュラムや力を入れていることなどとともに本人の希望であることをしっかり伝える
・教育機会均等法、子どもの権利条約等の書かれた資料、文科省からの通達文書(これらは念のため、お守りとして持っていきました)
の3点です。
あと、あればいいかなと思ったのはボイスレコーダーです。←証拠になるので。
ここまで用意しておけば、こちら側の熱意と本気度は伝わります。
また、教育基本法における学校教育を否定する立場ではないこと、本人が希望すれば、地元の中学に通わせる意思はあることを伝えたうえで、本人のこの学校へ通いたい、学びたいという気持ちを第一に、親としてはそれを応援したい、ということはしっかり伝えておきました。
感情的にならない、要望をしっかり伝える、これが大事です。
ちなみに、我が家のある自治体ではこういった息子のケースは初だそうです。
インターナショナルスクールに通うために籍だけおく、というケースは何回かあるようですが。
我が子が切り開いた道が他の子どもたちの役に立てばいいな、と思っています。
中学校との面談
次は中学との面談です。
中学との面談では要望書を作って持参しました。
校長先生と副校長先生が出迎えてくださり、
最初、かなりビビってたんですが、
校長先生の方からいろいろ切り出してくださり、
私も現在の息子の状況、不登校になった簡単ないきさつ(学校の悪口にはならないように)、を伝えたうえで、息子が希望する学校について説明しました。
たぶん、この校長先生、頭の良い方なんだろうなぁという、最初の印象です。
お二人とも、しっかりと話を聞いてくださり、理解してくれました。
学校としてこういう形がいいんじゃないか、と考えてくださったこともあって、
要望書の方も大丈夫です、といって受け取っていただけました。
ここでも、いろんな準備をしていたんですが、あまりにあっけなく認めてもらえたので、正直びっくり、でした。
たぶん、教育委員会に事前に相談し、中学側も事前にある程度状況を把握できていたからなんじゃないかなーと思います。
しかも、私の対応してくださった担当の教育委員会の方が本当に良い方で素早く対応してくださったので、とても助かりました。
教育委員会を敵にまわさない!これ、本当に大事だと思います。
そして現在、なんの問題もなくオルタナティブスクールに通っている息子です。
在籍中学校には年1回、教科書を取りに行き、簡単な近況報告をしています。
学校間では毎月学習報告書のやり取りはあります。
教育に携わる方々と話をしてみた結論としては、とにかく今、不登校になる子どもたちがものすごい勢いで増えているにもかかわらず、制度が追い付かないもどかしさを感じている方は多いのではないかと思いました。
多様性を認めるといいながら、多様な学び方に対する環境が整わない、やっとこさ教育機会均等法が成立したけれども、なかなか浸透もしない、(まだ知らない先生も多い)子どもたちのために何ができるのか、考えている間に、どんどん子どもたちは成長していく、という状況なのではないでしょうか。
ただ、少しずつ前進はしているようです。
もともと我が家のある自治体には小中学生のための不登校教室はあったのですが、登録はしていても利用者は少なかったみたいなんですね。
今後、新しく特例校もできるようです。
どんどん多様な学びの場が増えるといいな、と思います。
そして近い将来不登校という言葉がなくなることを願っています。
オルタナティブスクールを選択した理由については以下に書いています。